自然が作り出すグラデーションの奥行きと立体感~シルバーブルーミンク

ミンクにはいろいろな分類がありますが、わかりやすいカテゴリーはやっぱり”色”になるでしょう。もともとの天然のミンクは茶系だったわけですが、今日では黒、グレー、白など多岐にわたります。
色のカテゴリーでは、うちではあまり取り上げる機会がなかったシルバーブルー。今回、このミンクでベストを製作する機会がありましたので、このミンクについて触れたてみたいと思います。

シルバーブルーミンク。あんまり聞いたことない方も多いと思いますが、実はわりと出品数もあって、オークションでは目にすることが多いミンクです。

カテゴリー的にはサファイア、ブルーアイリスなどのグレー系ミンクの中に入ります。ただ、この名前が、このミンクの色を正しく表しているわけでなく、その時々で、印象がガラッと変わる色なんです。それは、このミンクの色がカバーする色域がとっても広いからです。

全体を明るくしていくとサファイア、暗めして青みを強くするとブルーアイリス、赤みを強くするとベージュ系のパールやパステルという風に、となりのカテゴリーがすぐとなりに見えてきます。いろいろなシルバーブルーを見てると、いつの間にかサファイアのカテゴリー見てる気分になったり、ブルーアイリスの青さを追い求めていていたり、これなんかパールじゃないの?みたいに自分の中の基準が行ったり来たりします。

今回ベストを作ってみて出来上がりを見た時、自分はこのミンクの評価を今まで間違っていたことに気がつきました。

つまりは、悪く言うと、色の個性としてはどっちつかずで、選びにくい色なんですが、よく言うと、メジャーで有名なカテゴリーに収まり切れない色で、一周して、逆に個性的な色になるということです。

一般的なミンクでも、製品前の乾皮のとき、なめしあがったとき、製品として室内で見る印象、屋外で羽織っているときの印象が違うものですが、このミンクはひときわその傾向が強いです。
今回、屋外と室内で撮影しましたが、曇天の太陽光ではグレーに見え、室内の光で少し赤みが出て、ベージュに見えます。カメラのホワイトバランスの問題だという方もいるかもしれませんが、どちらの見え方もこのミンクの色なんだろうと思っています。

このミンクは、毛の”面”上、つまり毛先(トップ)が一番濃い状態で、だんだん色が淡くなっていきます。毛根まで到達するまで幾重にも色のレイヤーがあることで美しい陰影を生み、色の立体感を生み出します。
人間が頭の中で考えた色域とかグレーディングを飛び越えて、多様多彩な色がこのミンクの中に存在し、さらにそして自然界の光が加わることで、さらに複雑なグラデーションを見せてくれます。

ミンクという素材も、刻一刻と表情を変える海や空と同様に自然の一部であることを改めて感じさせてくれます。やっぱり”良いもの”は、自然の畏怖があって、言葉で言い尽くせないものがありますね。