2019 Feb トロント出張その2 ~ 良いものが正当評価される時代に

今回の出張は、もちろん仕入れも大事だったのですが、業界の空気感、雰囲気など今後の見通し的なものをさぐるのも目的でした。ものの値段というのは、需要と供給できまるといいますが、オークションほどそれがわかりやすいものはありません。いろいろ肌で感じることができました。

ミンクにはたくさんの種類があって、さらにサイズ、グレード、カラー、毛の長さなどとても細かい分類基準があります。はじめての方だとボンヤリとした色の違いぐらいしか区別がつかないかもしれません。しかし、その1要素でも値段に大きな差が発生します。こちらのミンクは、”ラベンダー” 出品数が少なく優しくさわやかな色味。某ブランドさんが展開していたカラーなのでご覧になった方もいるかもしれません。

こちらも珍しいミンク”POLAR” カテゴリー的には、パロミノに近い種類ですが、より青みのあるものをカテゴリー分けしたようです。こうした新しいカラーのミンクは、品種改良の過程で生まれたイレギュラーな種類を大事に育てて増やしていくことからスタートします。一般的に黒、茶以外のミンクは”ミューテーション”と呼ばれます。

さて、今回のオークション。昨今は、需要と供給のバランスが崩れて、なんでも高く値がつくという時代は完全に終わった感じです。そしてマーケットを支配している最大消費国の中国がアメリカと貿易戦争しながら、自国産のミンクを増やしています。この状況で優秀なミンクを生産していた有名ランチャーはドンドン撤退。投資など仕掛けが大きいだけに、その判断を誤ると大変なことになるとは言え、その判断のスピードに驚かされます。シアトルのオークションがあっさりなくなったことから始まって業界再編的、生産調整的なことがここ数年で一気に進みそうです。

価格としては、クオリティーの高いものは現状維持。良いものは高いという当たり前のことです。ショートナップ(毛が短いもの)、ミューテーション(ちょっと変わった系のカラー)などは生産技術が必要で、それがアメリカミンクの最後の牙城となっています。今回、ブルーアイリスミンクを落札してきました。このミンク、現在のミンクの中でも最も高値で取引されるといってもいいと思います。その中で、一番クオリティーの高いものを選んできました。

今回は約1週間の滞在。今回のトロントは、シアトルのALCがなくなってから初めての参加でしたが、いろいろ取り巻く状況や環境の急変に驚くばかりでした。NAFAはsince 1670。インターネットやAIなど最先端の技術が進む中、毛皮というこの天然資源を売買するシステムとしてのオークションは今後どうなっていくのかなぁ~そんなことを帰路の飛行機の中で考えていました。