”きちんと感”と”さっくり感”のバランス~ミンクショール(ショートナップナチュラルダーク)

今回はお気に入りのショールを紹介したいと思います。
ファーのショールというと、成人式とかで着物に羽織っているものとか、芸能人がショーやパーティーで身に着けているものをイメージすると思います。
でも気取らず気軽に羽織れるショールもあるんです。
上品で”きちんと感”があって、ちょっとだけカジュアル、そんな日常使いができるミンクならではのショールです。

ミンクのショールで一般的なものは、和装用。和装用ショールは背中にまわる部分がカーブがあり、全体的にボリュームを出すために綿芯を入れているものが多いです。普通のコートに合わせても、ショールそのものがコートから浮いてしまったりして、洋装にはしっくりこない印象です。このショールのような長方形であれば、どんな羽織り方をしても、襟まわりが自然になるため、和装にも洋装にも対応できます。
派手過ぎず、シックな面持ちを可能にするのは、ファーの場合は毛の長さによることが多いです。単純により長ければ華やかになるし、短ければ落ち着いた雰囲気に。ファーの中でもミンクは毛が短いほうですが、さらにシェアードやプラクト処理で毛をカット可能ですが、今回の作品のようにもともと天然でショートナップのミンクの品種もあります。最近はミンクの品質として、天然の状態で毛が短く均一なミンクほど高い価格で落札される傾向があります。
毛が短く柔らかでしなやかであれば、ショールもマフラー的な使い方が可能に。肩にかけるというよりは、首にかけるという感じ。ニットやカシミアのショールに近い使い方ができるようになります。
使用しているミンクは、天然の黒のミンク(ナチュラルダーク)です。光線の当たり方によっては、焦げ茶に見えるところもありますが、均一に染色された人工的な黒とは違った奥ゆかしさと趣があります。両端にポケットを付けることで少しカジュアルな面持ちに。正面から見るとちょっとしたベストのような使い方もできます。この作品も、レットアウトという技術を用いて、縦のラインが美しく見えるように裁断縫製しています。シンプルですが職人技がしっかり詰まった作品です。